1. 今日の問題

最近電磁気学の本を読んでいたときに、以下のような記述を見かけました。

𝐸1𝑒𝑖𝑘1𝑥+𝐸2𝑒𝑖𝑘2𝑥=𝐸3𝑒𝑖𝑘3𝑥

が恒等的に成り立つので、𝑘1=𝑘2=𝑘3で… 」

結構自明な気がしますが、一応示しておこうと思ったので記事を書いてみました。

問題 1

𝑛を自然数とする。 相異なる複素数𝜔1,𝜔2,𝜔𝑛と、複素数𝛼1,𝛼2,,𝛼𝑛について、以下が成立することを示せ。

𝑥:𝑗=1𝑛𝛼𝑗𝑒𝜔𝑗𝑥=0𝛼1=𝛼2==𝛼𝑛=0

これが示すことができれば、𝐸1,𝐸2,𝐸30でないことから𝑘1,𝑘2,𝑘3のうち少なくとも2つが等しいことが示せて、結局

𝐴𝑒𝑖𝑘𝑥=𝐵𝑒𝑖𝑙𝑥

みたいな問題に帰着できるので、あとは両辺を適当に割れば𝑘1=𝑘2=𝑘3が示せます。

2. 解答

いくつか方針が思いつきますね。

解答 1

𝑥:𝑗=1𝑛𝛼𝑗𝑒𝜔𝑗𝑥=0𝛼1=𝛼2==𝛼𝑛=0<1><2>

を示す。➁➀は明らかなので、以下➀➁を示す。 ➀のとき、➀の両辺を𝑥𝑘回微分した

𝑥:𝑗=1𝑛𝜔𝑗𝑘𝛼𝑗𝑒𝜔𝑗𝑥=0

も成立し、これに𝑥=0を代入した

𝑗=1𝑛𝜔𝑗𝑘𝛼𝑗=0

も、任意の非負整数𝑘について成立する。故に、

(111𝜔1𝜔2𝜔𝑛𝜔12𝜔22𝜔𝑛2𝜔1𝑛1𝜔2𝑛1𝜔𝑛𝑛1)(𝛼1𝛼2𝛼3𝛼𝑛)=(0000)

が成立する。ここで、以下が成立する。

|111𝜔1𝜔2𝜔𝑛𝜔12𝜔22𝜔𝑛2𝜔1𝑛1𝜔2𝑛1𝜔𝑛𝑛1|=1𝑖<𝑗𝑛(𝜔𝑗𝜔𝑖)

( 左辺はVandermondeの行列式) 𝜔1,𝜔2,,𝜔𝑛が相異なることに注意すると、これは0でないことがわかるので、行列

(111𝜔1𝜔2𝜔𝑛𝜔12𝜔22𝜔𝑛2𝜔1𝑛1𝜔2𝑛1𝜔𝑛𝑛1)

は正則であることがわかる。従って、

(𝛼1𝛼2𝛼3𝛼𝑛)=(0000)

でなければならない。よって、が示された。

解答 2

同じく➁➀は明らかなので、逆を𝑛についての数学的帰納法によって示す。つまり、自然数𝑛についての命題𝑃(𝑛):

「 相異なる複素数𝜔1,𝜔2,𝜔𝑛と、複素数𝛼1,𝛼2,,𝛼𝑛について、

𝑥:𝑗=1𝑛𝛼𝑗𝑒𝜔𝑗𝑥=0𝛼1=𝛼2==𝛼𝑛=0

が成立する 」

がすべての𝑛で成立することを数学的帰納法によって示す。

(i) 𝑒𝜔1𝑥は常に0でないので、明らかに𝑃(1)は成立する。

(ii) 𝑃(𝑘)が成立すると仮定する(𝑘)。ここで、相異なる複素数𝜔1,𝜔2,𝜔𝑘+1と、複素数𝛼1,𝛼2,,𝛼𝑘+1について、

𝑥:𝑗=1𝑘+1𝛼𝑗𝑒𝜔𝑗𝑥=0

が成立しているとき、両辺を𝑒𝜔𝑘+1𝑥(0))で割ると、

𝑥:𝛼𝑘+1+𝑗=1𝑘𝛼𝑗𝑒(𝜔𝑗𝜔𝑘+1)𝑥=0

を得る。このとき、両辺を𝑥で微分して得られる

𝑥:𝑗=1𝑘(𝜔𝑗𝜔𝑘+1)𝛼𝑗𝑒(𝜔𝑗𝜔𝑘+1)𝑥=0

も成立する。ここで仮定した𝑃(𝑘)より、

(𝜔𝑗𝜔𝑘+1)𝛼𝑗=0(𝑗=1,,𝑘)

が成立する。ここで、𝜔1,𝜔2,𝜔𝑘,𝜔𝑘+1が相異なることに注意すれば、

𝛼𝑗=0(𝑗=1,,𝑘)

が成り立つ。式(2.11) より、𝛼𝑘+1=0。よって、𝑃(𝑘+1)が成立することが示された。

(i)(ii)より、題意は示された。

3. 補足

解答1と同じ手法で、三角関数も独立なことが示せますね。